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松井秀樹日記

成年後見12ー推定的同意
2010.11.12 今日もまさしく晴れ

数日前の日誌は「推定的意思」の話でしたが、今度は「推定的同意」
の話です。これは医療行為に対する本人の同意のことになります。

手術のような医的侵襲を伴う医療行為についは後見人に同意権はありません。
これは以前書いたとおりです。医療現場ではこれまで、本人の意思が確認でき
ない場合、「推定的同意」の考えもとに医療行為を行うことがあると
いいます。では、どのような場面でこの同意があるとされるのか。
私の知るかぎりの例を記します。

1 本人はあるガンの手術に同意しているが、その外科手術中に医師が
ほかの部位にもガンがあることを発見し、このガンをいま摘出することに
本人の推定的同意が認められるとして、そのガンも摘出する。

2 本人は判断能力を完全に失っているが、本人の家族や関係者、友人、
あるいは本人の書いた文書から、この医療行為には同意することが
推定できる。

3 本人は判断能力を完全に失っているが、生命の危機に瀕しており、もし
本人の判断能力があるならば、この手術には当然同意するものと思われる。

このうち、2は現在、家族の同意で臓器移植する手術の際に使われている
「推定的同意」と類似すると思います。ただ、2で書いているのはあくまでも
本人を生かすための推定的同意、あるいは延命治療をどうするかの場面に
おける推定的同意が前提のようにも思います。

最後に、成年被後見人、つまり判断能力がないとして後見開始決定を受けている
人は、医療行為に関する同意能力も当然にないと考えてはいけないこと
です。

成年被後見人とは、財産管理能力のない方のことであり、医療行為の
同意能力とは違うものだからです。
















投稿者 司法書士 松井秀樹 (2010年11月12日 15:24) | PermaLink

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